IPアドレスとは?
私たちがスマホやパソコンでインターネットを使うとき、実は目に見えないところで「IPアドレス」という番号が重要な役割を果たしています。
聞いたことはあっても、「難しそう」「自分には関係なさそう」と思う方も多いかもしれません。
でも実は、家庭のWi-Fiやネット接続を理解するうえで、とても身近な存在なんです。
この記事では、一般家庭の方向けに「IPアドレスとは何か?」をやさしく解説します。
IPアドレスとは?(やさしい定義)
IPアドレスとは、インターネット上で機器を識別するための番号のことです。
たとえるなら、「ネット上の住所」のようなもの。
あなたの家が住所で郵便物を受け取るように、スマホやパソコンもIPアドレスを使ってデータのやり取りをします。
メールを送ったり、動画を見たりするとき、相手のサーバーはこのIPアドレスを頼りに通信相手を見つけています。
IPアドレスの種類
IPアドレスには、大きく分けて2種類あります。
グローバルIPアドレス
インターネット全体で使われる「外向きの住所」。
プロバイダ(通信会社)からルーターに1つ割り当てられ、世界中で一意の番号です。
プライベートIPアドレス
家庭の中のルーターが、自宅のスマホ・PC・ゲーム機などに割り当てる「家の中の住所」。
ルーターが仲介して、家の中の複数の機器をひとつのグローバルIPで外部に接続します。
イメージで言うと、
- 家(ルーター)が「表札(グローバルIP)」
- 各部屋(スマホ・PC)が「部屋番号(プライベートIP)」
のような関係です。
固定IPと動的IPの違い
次に、IPアドレスが「変わるか変わらないか」という視点から見ると、固定IPと動的IPの2種類があります。
- 固定IPアドレス:常に同じ番号。変わらないので、監視カメラの遠隔操作やサーバー運用などで使われます。
- 動的IPアドレス:接続のたびに番号が変わる。家庭用インターネットではほとんどこちらです。
一般家庭では「動的IP」でまったく問題ありません。
再接続したり、ルーターを再起動するとアドレスが変わることがありますが、それが普通です。
IPv4とIPv6の違い
IPアドレスには「IPv4」と「IPv6」という2つの規格があります。
- IPv4:昔から使われている形式。
例:192.168.0.1
ただし、数に限りがあり、世界中で不足気味。
- IPv6:新しい形式。
例:2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334
数が圧倒的に多く、通信もよりスムーズ。
現在は、ほとんどの通信会社が「IPv4とIPv6を両方使えるデュアル対応」になっています。
家庭では特に設定を意識しなくても、ルーターが自動的に最適な通信方法を選んでくれます。
自分のIPアドレスを調べる方法
IPアドレスは簡単に確認できます。
パソコンで調べる手順
Windows(Wi‑Fi/有線共通)
- ネットワーク設定から確認:
- 設定 → ネットワークとインターネット → Wi‑Fi(またはイーサネット) に進む
- 接続中のネットワーク → プロパティ を開く
- IPv4 アドレス を確認(ローカルIP)
- コマンドで確認:
- Windowsキー → “cmd” → コマンドプロンプト を起動
ipconfig を実行
- IPv4 Address を確認(ローカルIP)
- グローバルIPの確認:
- ブラウザで「IP確認」を検索、上位に出てきたサイトにアクセスすると、現在のグローバルIPが表示される
macOS(Wi‑Fi/有線共通)
- システム設定から確認:
- システム設定 → ネットワーク
- 右側の接続中のインターフェース(Wi‑Fi/Thunderbolt/Ethernet)を選択
- 詳細のIPアドレスを確認(ローカルIP)
- ターミナルで確認:
- ターミナルを起動
ifconfig を実行
- en0(Wi‑Fi)/ enX(Ethernet)のセクションで inet の値(IPv4)を確認(ローカルIP)
- グローバルIPの確認:
- ブラウザで「IP確認」を検索、上位に出てきたサイトにアクセスすると、現在のグローバルIPが表示される
スマートフォンで調べる手順
iPhone(iOS)
- Wi‑Fi接続時のローカルIP:
- 設定 → Wi‑Fi
- 接続中のネットワークの情報アイコン(ℹ︎)をタップ
- IPv4 アドレスを確認(ローカルIP)
- モバイル回線/グローバルIP:
- ブラウザで「IP確認」を検索、上位に出てきたサイトにアクセスすると、現在のグローバルIPが表示される
Android
- Wi‑Fi接続時のローカルIP:
- 設定 → ネットワークとインターネット → インターネット(機種により表記差あり)
- 接続中のWi‑Fiをタップ
- IPアドレス(IPv4)を確認(ローカルIP)
- モバイル回線/グローバルIP:
- ブラウザで「IP確認」を検索、上位に出てきたサイトにアクセスすると、現在のグローバルIPが表示される
ルーターで調べる手順
管理画面にアクセス(共通)
- 接続手順:
- ルーターに接続した端末でブラウザを開く
- アドレスバーに 192.168.0.1 または 192.168.1.1(メーカーにより異なる)を入力
- 管理者ユーザー名/パスワードでログイン(本体ラベルや取説、契約時メールなどを参照)
- WAN(グローバルIP)の確認:
- 管理画面のステータス/インターネット/WANの項目でIPアドレスを確認
- LAN(ローカルIP)と配下端末の確認:
- LAN設定/DHCPクライアント一覧/接続デバイスで各端末(接続されているPC・スマホ・テレビ・タブレットなど)のIPv4 アドレスを確認
- PPPoEやIPv6設定の注意:
- PPPoE接続中はWANの項目にグローバルIPが表示
- IPv6優先の回線では、IPv4とIPv6両方の項目があるため、IPv4欄を確認
IPアドレスでできること・できないこと
IPアドレスには、インターネット上で通信相手を特定する役割がありますが、個人情報そのものではありません。
- IPアドレスだけでは、個人の「名前」や「住所」を特定することはできません。
- ただし、警察やプロバイダが通信記録を照会すれば、「どの契約者がいつ接続していたか」を突き止めることは可能です。
また、ネット上での不正アクセスや迷惑行為は、IPアドレスを手がかりに追跡され、特殊な偽装技術が無い一般的な人では全て特定できます。
家庭で安全にネットを使うためにも、「自分のネット環境の住所」であるIPアドレスを理解しておくことは大切です。
初心者がIPアドレスを知らないと困る代表的な場面
Wi‑Fiやネット接続のトラブル解決
- インターネットにつながらないとき、PCやスマホの「ローカルIP」が正しく割り当てられているか確認する必要がある
- ルーターの管理画面に入る際も「デフォルトゲートウェイ(例:192.168.1.1)」を知っていないとアクセスできない
プリンターやNASなどの機器設定
- ネットワークプリンターやNAS(家庭用サーバー)を使う場合、機器のIPアドレスを指定して接続する必要がある
- IPを知らないと「見つからない」「接続できない」といった問題が起きる
リモート接続やオンラインゲーム
- 家のPCに外部からアクセスする「リモートデスクトップ」や、オンラインゲームでポート開放を行う場合、グローバルIPやローカルIPを把握していないと設定できない
- 特にゲームでは「フレンドと同じサーバーに入れない」などのトラブルにつながる
セキュリティ対策
- 不審なアクセスがあったとき、ログに「IPアドレス」が記録される
- 自分のIPを知らないと「これは自分のアクセスか、外部からの不正アクセスか」を判断できない
初心者が普段ネットを使うだけなら「IPアドレスを知らなくても困らない」ことが多いです。 しかし トラブル解決・機器設定・リモート接続・セキュリティ確認 の場面では必須知識になります。
まとめ
- IPアドレスとは、インターネット上の住所のようなもの。
- 家の外には「グローバルIP」、中には「プライベートIP」がある。
- 一般家庭では「動的IP」で十分。
- IPv4とIPv6の違いも、今はほとんど自動対応。
- IPアドレスを知ることで、ネットの仕組みやセキュリティへの理解が深まる。
以上、IPアドレスとは?家庭のネット環境を守るために知っておきたい基本の話でした。

hajizo
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