タイトル

【コミック】二月の勝者-絶対合格の教室-【中学受験】【★★★★★】

タイトル

大人になって読むからこそ、深く内容に共感できる漫画も沢山あります。

今回のおすすめは「二月の勝者-絶対合格の教室-」です。

原作者の緻密な取材によるリアリティ溢れる受験塾での日々を、子供達と塾講師の目線で描いています。中学受験あるあるがそこら中に散りばめられ、都内の小学5、6年生たちの今を垣間見ることが出来ます。
話題作となりドラマ化もされています。

中学受験を考えている家庭は必見!

ストーリー

物語の舞台は東京・吉祥寺の中学受験塾、桜花ゼミナール吉祥寺校。業界トップの合格実績を誇るフェニックスをやめ吉祥寺校の新校舎長に着任した黒木蔵人は、「トップ校とされる学校群『御三家』の合格者がゼロに終わった『残念な校舎』の『テコ入れ』をする」ために来たという[6]。「学習塾は、子供の将来を売る場所です」と新人講師の佐倉麻衣に言い放つ冷徹な顔[7]とは裏腹に、小学校で逆学歴差別を受ける女子生徒・前田花恋[8]や多額の費用をつぎ込んでの不合格への不安に駆られた父との関係に苦しむ男子生徒・島津順[9]、不登校となった公立小学校における人間関係を断ち切っての難関校合格を夢見る女子生徒・柴田まるみ[10][11]などの各生徒に時折見せる黒木の温厚さや、各学力層にいる生徒への深い理解に基づく指導は、次第に生徒・保護者の心をつかんでいく。

ー 略 ー

物語は佐倉の視点から書かれており、中学受験の経験がない佐倉や生徒の保護者たちに黒木が中学受験に関する知識を説明する場面が随所に登場する。また、多数の参考文献を基に作られたストーリーには、実在する学習塾・模擬試験・中学校などのパロディーが多数登場するに至るまでの徹底的な「現実感」へのこだわりがみられる。

二月の勝者-絶対合格の教室- [wikipedia]

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主な登場人物

桜花ゼミナール経営陣・講師

白柳 徳道

桜花ゼミナール社長。

林原 安寿

社長秘書。

黒木 蔵人

元 PHOENIX のカリスマ講師で、桜花ゼミナールに移籍した吉祥寺校の新校長。生徒を金脈と言い、打算的な考え方で物事を進めるように映るが、向上心のある生徒に対しては心から応援する素振りも見せる。

佐倉 麻衣

新卒で桜花ゼミナールに入社した講師。体育会系の情にあふれる性格。配属直後からRクラス(お客様クラス:成績最下位クラス)の担当を任せられる。

橘 勇作

売上黒木先生の不可解な行動に反発し、怪しげな尻尾を掴もうと躍起になる。生徒の面倒見は良いが、女子の心を理解することが苦手。

佐倉の先輩講師で様々な塾情報を解説してくれる。唇のツヤにこだわりあり。

碧山 皐月

御茶ノ水校新人講師。東大出身で夏季合宿慰労会では飲み会マスターぶりを発揮する。黒木とともに校長の白柳から講師業務以外に特命を任せられている。

木村 大志

国語・社会担当。

桜花ゼミナール生徒

島津 順

最上位のΩクラスでも一番の成績の生徒。 旧帝大を自学と根性で乗り切った方法論を当て嵌め様とする父に苦手意識を持っている様子。開成中学が第一志望。

前田 花恋

Ωクラスの女子で一番の成績。負けず嫌いで両親は医師。一度はフェニックスに移籍するが、黒木の一言で桜花ゼミナールに戻ってくる。

直江 樹里

算数の力が抜群に優れているが、算数だけに夢中になって他の教科が疎かになってしまう。もともと、同じクラスの前田花恋とだけ仲が良かったが、後に第一志望・JG(女子学院)を同じくする柴田まるみとも親しくなる。両親が美容室を経営しており、小さいころから髪を染めたりした事で小学校で浮いた存在となっていた。

三浦 佑星

両親の勧めで幼い頃からサッカーをしているが、サッカーの才能は平凡と黒木に評される。模試で粘った答案を黒木に褒められ入塾を決める。

加藤 匠

鉄道ファンであることから、黒木がその類のクラブのある学校を進めると、俄然モチベーションが上がった。

上杉 海斗

双子の兄で、兄弟揃ってフェニックスに通っていたが、成績の平凡な海人は桜花ゼミナールに転籍する。学年トップの島津順に勉強を教えてもらい、成績が上がり始めると、自分もかっこいい受験がしたいと目標を開成に変える。

今川 理衣沙

最下位クラスの女子3人組の一人。見栄っ張りな母親の過度な期待とは裏腹に成績は低迷を続け、勉強しないで済む抜け道を探す事に長ける。

柴田 まるみ

小学校での人間関係に躓き不登校となってから、高校受験をしなくて済む中高一貫校を目指すようになる。
偏差値重視ではなく、不登校にも理解のある中学校への進学を目指していたが、OG訪問で出会った女子学院の生徒に影響され、女子御三家の女子学院を目指すことを決意する。
同じく女子学院を第一志望としている直江樹里と仲が深まる。

石田 王羅

中学などどこでもよく、遊んでいたいというのが本音。
夫を早くに亡くした王羅の母親は、鍼灸院を営みながら3年生まで学童に王羅を預けていた。
4年生から学童が亡くなり、公園などで遊ばせていたが、周りの子供に影響されがちな王羅は自分の居場所を作ることも難しい様子で、その事を案じた母親は、学童代わりに拘束時間の長い塾を選んだ。

山本 香苗

もともと今川理衣沙、浅井紫と仲良し女子グループであったが、学校見学で行く先が決まると勉強に集中し始め、今川理衣沙を距離を取るようになる。

浅井 紫

もともと今川理衣沙、山本香苗と仲良し女子グループであったが、今川理衣沙と折り合いが悪くなり距離を取るようになる。

武田 勇人

スマホの課金ゲームに夢中になる父は受験を前向きに考えておらず、少しでも偏差値を上げようとする母と意見が分かれる。美容部員の母は塾代のために昇給のある店長を目指すと宣言をする。

伊達 智弘

野球が好きで米田実業を目指している。

田中 利休

Aクラス在籍。Ωクラスへの選抜テストの際にはリベンジを目論むが叶わなかった。難関進学校で男子校を志望しているが、父親は新興の共学進学校を推している。

大内 礼央

AクラスからRクラスに降格する。今川理衣沙と連れ立っていた女子が離れていった後に今川理衣沙から付き纏われるようになり疎ましく感じている。髪飾りに拘りがある様で毎回異なるものを付けている。母親にGMARCH以上の付属と決めつけられる。

大友 真千音

Aクラス在籍。本人は共学志望だが、父親は自分の憧れであるミッション系の女子高を望んでいる。

原 秀道

Aクラス在籍。「はい」と元気よく答える。母親に大学付属に行く様に言われている。

福島 圭

Rクラス在籍。受験が近くなるにつれ親子関係が悪化していると感じる母親が精神的に不安定になる。

織田 未来

御茶ノ水校在籍。
年間平均偏差値72の秀才で島津順がライバル視している。

フェニックス講師

灰谷 純

難関中学合格者の6割を輩出しているフェニックス(サピックスのもじり)小学部で、最上位クラスであるサミットクラスを担当している。もともと黒木が担当していたコースであったため、黒木にライバル心を持っている。子供たちの身近なヒーローになりたいと思っている。

フェニックス生徒

上杉 陸人

フェニックスの最上位クラス・サミットの更に一番上の S 1クラス在籍。神7(セブン)と生徒たちから呼ばれているS1上位7人のうちの一人。麻布中学が第一志望。

二月の勝者 第1巻

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「君たちが合格できたのは”父親の経済力”、そして母親の”狂気”」

歯に衣着せぬ物言いにたじろぐ生徒たち。

中学受験は本人の努力以上に、父親と母親の財力と本気度が合格を左右するという事を、オブラートに包まず言い放つ光景に思わず見入ってしまいます。

そういえば、実際の大手塾でも受験直前に「中学受験できるのは両親のお陰であり、感謝を忘れてはいけない。」と大勢の子どもたちを前に講師が話していました。

試験当日、受験校正門の前で

直前まで見ていた問題集に、解き方の分からない問題があることが発覚。
焦り慌てる生徒に的確な答えができるのでしょうか?
つづきは<こちら

入塾希望者は金脈

外部生も加わる一般模試で、新たな金脈を掘り当てると豪語する黒木先生。金脈とはすなわち生徒のことであり、費用を出す親をスポンサーと呼ぶ黒木先生。塾の本音がそこかしこに見え隠れする気持ちの良いくらいにストレートな表現。

中学受験の母集団は小学校のクラスの上位者によって形成される

小学6年生の外部生が初めて模試を受けた結果が偏差値40。学校では100点しか取らない子供の成績とは到底思えないと言った表情の母親。

でもこれが現実で、小学校の学習範囲だけで中学受験に挑むのはあまりに無謀で、その差を埋める進学塾が中学受験には必要なのです。

私学の魅力的なクラブ活動

周りに合わせて塾通いさせるが、行きたくないという子供の気持ちに退塾を決める母親。
対して黒木先生は6年生の稼ぎ時に金蔓を手放す気は全く無く、鉄道好きな生徒に私学の魅力あるクラブ活動を紹介する。地元の公立には無い熱の入ったクラブ活動に、一気に心が傾く加藤匠だが、希望する中学はどれも持ち偏差値を大きく上回り、希望は叶うのだろうか。

新6年生の春は始まったばかり。
塾を信じてただ突き進む子供達。
それぞれの家庭の事情など素知らぬ顔で2月1日の受験日は迫ってきます。

二月の勝者 第2巻

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フェニックスへ転塾する花恋

フェニックスのサミットクラスに入塾し、レベルの高さと惹きつけられる講習内容にすっかりフェニックスの虜となってしまう。悪くなる体調にも気付かずに勉強を続け、夜の繁華街でたまたま出会った黒木から掛けられた言葉に思わず涙してしまう。

中学受験のための年間授業料

中学受験を控えた6年生の年間授業料はオプションを含めると 120万超。なぜ故そんなに金額が張るのか、ここを読めば一目瞭然。

経済格差が学力格差を生む構造は小学生の時に既に始まっているのですね。

教育方針でぶつかる両親

子供の教育に前向きでない父親と、上がらない成績にヤキモチする母親。授業料を巡っても意見の違いでぶつかり合うことがしばしば。 塾のコースオプションを「課金ゲーム」と言い、極まってゆく。

第2巻での見所はこの部分。母親の教育への執念を垣間見ることができます。

中学受験は特急券

塾講師は「教育者」ではなく「サービス業」と佐倉に叩き込む黒木。
子供を着実に目的地である大学に向かわせるための特急券が私立中学であり、我々は特急券を手に入れるお手伝いをしていると、黒木の塾講師としての哲学が炸裂。

金銭主義ですが、ここまで言い切ってくれるような講師がいれば受験を志す家庭はとても安心です。

第2巻では中学受験のための進学塾の内情が一般読者にも良く分かる様に細かく解説されています。第2巻以降「二月の勝者」がますます面白くなります。

二月の勝者 第3巻

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偏差値40を偏差値50に上げる方法

佐倉の受け持っている R クラス偏差値の底上げをすべく、模試の過去問を実施する。結果、基礎問題でもケアレスミスが多発し、基礎をしっかり押さえられて事が露呈する。

黒木との確執

帰省先の山梨の県立科学館で、サピックスの講師・灰谷と偶然出会った佐倉は黒木の話を振られる。色々と話しているうちに、黒木は平気で子供を裏切る人間なので気を許してはいけないと言われる。果たして灰谷と黒木の間にどのような確執があったのか、この時点ではまだ知ることは出来ない。

社長室にて

桜花ゼミナールの御茶ノ水本部で社長の白柳と話す黒木。
白柳に呼ばれフェニックスから桜花ゼミナールに転職した黒木は、吉祥寺校の運営の他にも、何かを任せられているらしい。

中高6年間で学費500万かける意味は

中高一貫校の授業料は6年間で500万円前後、果たしてこれだけの金額をかけてまで、子供を私学に通わせる意味があるのでしょうか。
実は金額に見合った大きなメリットがあるのです。そのつづきはこちらから。

偏差値55から60の壁

偏差値55から60の壁、偏差値55までは一定の傾斜を努力で登って行くもの。しかし55から60の間は簡単に通り抜けることは出来ない。

偏差値45の子を50に上げるのは然程難しくない様ですが、55から60の間には何があるのでしょうか?
家庭学習だけでこの壁は乗り越えられないものなのでしょうか?

Ω選抜テスト

塾では定期的に成績確認テストが行われ、それによって教室内での席順や、クラスのランクも変わる。

自分の座っている席順や在籍するクラスによって、成績の良し悪しが一目瞭然となるのです。
今回はカンフル剤的な不定期のクラス替えテストを行う様です。

もうすぐ夏休みを迎え、下位のクラス程、生徒たちはのんびりしているものですが、その生徒たちでさえ夏を逃したら挽回できる機会は無いと焦り始めます。

二月の勝者 第4巻

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偏差値60以下の学校はゴミ

どんな場所でも子供同士のぶつかり合いはあるもので、塾の場合にはどちらが悪い悪くないという判断材料に偏差値数値が加わるようです。
しかしこの後、ちょっとしたことで二人は勉強を教え合い、仲が深まってゆきます。

塾を休んだ順

塾を休んで10時間もどこに行ったかもわからない順。
昨夜手をつけた偏差値50の学校の過去問が思いの外解けずに、父親から管理ができていないと罵倒される母親を目の当たりにしてしまった。
塾内で成績が一番の生徒の家庭事情も複雑。

OB・OG訪問

気持ちの高まらない R クラスのために、夏休みに向けてのカンフル剤を投入する黒木。
卒業生の訪問に沸き上がる R クラスの女子。
しかしそこで聞いた話は3日間の全ての試験に落ちたことなど、これから受験を迎える6年生にとって突き落とされるような厳しい話ばかり。詳しくはこちら

JG(女子学院)を目指したいと黒木に打ち明けるまるみ

志望する気もなかった難関校が自分の理想とする場所だと知り、黒木に相談する。
お母さんと3人で作戦会議を立てましょうと、予想外の黒木の返答に高揚するまるみ。

各家庭の事情がだいぶわかってきました。
夏は始まったばかり、今時の塾の事情がとてもよくわかり、ますます目が離せない第4巻でした。

二月の勝者 第5巻

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自習室でのいざこざ

子供同士のぶつかり合い、上のクラスに入るために成績を上げようと頑張る礼央と、塾に来ても目的が無いため遊びの話題ばかりの王羅。騒がしい王羅に何のために塾に来ているのかと切れる礼央。

放課後の居場所

「小さい頃から塾に通わせたら可哀想、外で元気に鬼ごっこやかくれんぼをした方が良い。」そんなふうに言う大人もいますが、今の子供達の置かれている状況はそんなに甘くない様です。
放課後の居場所を確保することは、塾に行っていない子供の方がむしろ大変なのかもしれません。
その理由はこちら

夏季合宿に向けた保護者会

今回は5泊6日の夏期合宿、1日12時間以上の学習で合宿期間全体で60時間以上勉強時間をとるもの。2ヶ月間分の学習内容をこの5泊6日に濃縮すると言うスパルタンな内容となっている。

塾では定期的に保護者会が開かれ、今回は夏季合宿に向けたガイダンスです。
「中学受験は親の受験」と言われる通り、学習の進め方については親が判断するのが当たり前、親子一体となって受験に向かっていかなければ、良い結果は得られないのです。

試験日程パターン

2月1日から始まる都内の入試をどのような組み合わせで申し込んで行くか、不慣れな親に代わって黒木が黒板にカツカツと書き始める。

都内の入試は、2月1日から午前と午後に分かれ数日連続で行われ、すぐに合否判定が貼り出されるので、志望する学校に落ちた時には何度も再試験を受けることができます。
2回目以降の受験は割引料金であったり、何度も受けていると得点+付加点を貰えるところもある様です。

夏季合宿

夏季合宿では、各校舎の子供達が一堂に会し、朝から晩まで勉強漬けの共同生活をする。
上位の子はさらに上位を知り、下位の子にとっては上位の子の努力の量を知る事になり、皆それぞれ大きな刺激を受ける事となる。

夏季合宿は学力を一気に伸ばすチャンス、塾の目玉商品のひとつです。

6年生の夏を迎え、子供達は自分事として受験を捕らえ始めるようになりました。第一志望とする学校までの偏差値はまだまだ遠いようですが、夏季合宿を経てステップアップ出来る様に期待しましょう。

第6巻以降はより深く個々の生徒たちの背景、講師陣や塾の本音も見えて来て、画像だけでもネタバレ的なものが多くなるので、お楽しみは実際にページをめくってからにしましょう。

二月の勝者 第6巻

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全校舎集まっての夏季合宿も最終日の夜となり、子供達が就寝した後でそれぞれの校舎の講師たちが反省会をしつつ雑談に花を咲かせる中、「教室によって合格実績が違うのは指導力に差があるのか?」と先輩講師に尋ねた。
先輩講師達は口を揃えてただ一言「運」と言う。

夏季合宿から帰った加藤匠の家では、漢字小テストが表彰されていることに喜ぶ母親に照れる匠、上杉陸人は玄関についてもいつもと変わらぬ様子、柴田まるみは迎えに来た母親の車でJG(女子学院)なんて受かりっこないと大泣きをする。

9月に入り、渋谷大崎(四谷大塚のもじり)合格不合格テスト模擬試験が行われ、その結果にどの家庭も愕然とするが、どの子も学力を上げてきているので偏差値は下がりぎみになると伝えていた黒木の根回しで、講師室に悲鳴の電話が来ることは無かった。
一方島津家では、模試で3ポイント以上成績が下がったことに苛立ちを露わにする父親は、 息子の順や母親とぶつかり始めるようになる。

桜花ゼミナール御茶ノ水校(本社)では全校舎校長会議が開かれ、冬期講習会及び正月特訓のノルマが95%に引き上げられることが伝えらる。ざわつく各校舎の校長を前に、申し込みを100%取ると言い切る黒木に、反論していた各校長たちは従わざるを得なくなり、社長の白柳から指示された一芝居は功を奏す事となる。

学校見学会の時期となり、生徒たちは第一志望の学校、押さえの学校を見て回り、理想と現実のすり合わせをし始めた。

行きたい学校と行けそうな学校、子供の希望とは別に、もしものための学校もこの時期から選び出さなければいけない母親の方も辛いのです。

二月の勝者 第7巻

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それぞれの中学校では、頻繁に開かれる学校説明会や文化祭などに現6年生が多く参加し始め、運命的な学校との出会いも生まれる。

今川理衣沙は女子仲良し三人組の親子で文化祭に行くはずだったが、山本香苗が親の方針変更で別の学校見学をすることとなり、それを抜け駆けと感じ、その時から理衣沙に香苗に対する意地悪心が芽生える。現実を見つめ進路を下方修正する家庭と、理想ばかりを追いかけ現実を直視でず勝算も無いまま突き進む家庭が岐路を分かつ時期が来ていた。

その後の塾でも、理衣沙は香苗のシャーペンを隠して意地悪をするがスルーされ、今度は大内礼央に近づく。しつこい理衣沙の誘いを断るうちについ大声となり、自習室では私語厳禁と橘先生に注意され一方的に叱られる礼央。これをきっかけとして、礼央の成績は下がる様になり、礼央の母親は塾への不信感を抱くようになる。
塾では表向き成績順の席替えが行われ、今川理衣沙の周りは男子で固められ、他の女子へ影響を及ぼさない様に対策が取られる。

Ωクラスへ昇格したまるみだが、樹里や他のΩクラス生徒との実力差に落ち込み、Ωクラスなど入らなければ良かったと母親に弱音を吐いてしまう。意を決した母親は、クラスを下げてもらうため塾を訪れ状況を黒木に話す。「お母様のお気持ち、受け止めました。」と伝える黒木だが、「クラス替えをするつもりは無い、今回は母親のストレス解消の話の場を作っただけ。」と佐倉に言う。

漢字の小テストでまるみの几帳面さを見習わなければいけないと感じた樹里は、塾前のひと時、一緒に勉強すべく自分の親が経営している美容室の地下の待合室にまるみを誘う。勉強の最中、樹里と母親との会話に算数以外が伸びずに落ち込んでいる、塾では見た事のない樹里を知る。
塾へ向かう道すがら、「頑張っても全然出来る様にならない。」と樹里と自分を比べるまるみに、「少し勉強したらすぐに何人も追い越してまるみは伸びしろしだらけ。」と樹里が言い返した。
まるみの瞳が輝き、その日から第一志望を迷うことなくJG(女子学院)と決めるようになった。

志望校アンケートが集まり、確認をすると生徒と親の希望の食い違いのある家庭がいくつも出てきた。保護者面談では、第一志望校には足りない偏差値を今後の学習でどのように挽回していくか、過去の合格例をもとに進め方が各受験生親子に話された。

2月1日の都内受験日まで4ヶ月。日曜日だけ数えるとあと16回・・・。

小学生のうちは周りの環境に左右されがちで浮き沈みも激しく、受験する学校を決めるまでにはまだ暫く時間が掛かりそうです。

二月の勝者 第8巻

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以前に行われた模試を踏まえ、各家庭の面談が始まった。
話の通じる家庭には過去のデータを踏まえ今後すべき事を伝えるが、現実と理想が乖離し過ぎても尚理想しか見る事の出来ない家庭には、お客様として気持ちよく塾通いしてもらう事に徹すると言う黒木のスタンスが佐倉を不安にさせた。

前田花恋の母との面談では、併願校のレベルを下げ安全策をとりたいと言う母親に対し、可能性のある花恋には千葉・埼玉・東京の各トップ校の総取りを目指して欲しいと誘導し、伊達智弘の母には、野球強豪校を目指す子供が入学した後も高校入学時のスポーツ推薦が無くレギュラーでいられる可能性の高い学校を用意し、勉強の好きでない武田勇人の母には、エスカレーターのある大学付属の中でも自大学への進学率の高い学校を選び出し、必死さの伝わる親たちとの面談で、常に次の一手を用意してる黒木の手腕を目の当たりにし、自分の未熟さを佐倉は感じていた。

前田カレンの両親との面談では、佐倉は桂の補助として面談に同席し、受験する学校の出題傾向も踏まえた学校選択のアドバイスをする桂に、経験の違いを感じさせられる。

加藤拓海の母親との面談では、佐倉は橘の補助として面談に同席し、母親も知らない子供の目を見張る様な学習状況や、モチベーションを保ったまま複数校を受験するための学校選択、佐倉が見落としていた同じ学校を複数回受験した場合の優遇措置などを端的に母親に伝える橘に、挟む口も無い状態であった。

上杉海斗の母親との面談は、黒木が一人で対応し志望校の確認をした。だがこの時、本当の海斗の志望校は海斗の要望で母親には伝えられなかった。

この日の午後、一番手強い面談相手である島津順の親はいくら待っても姿を現さず、やがて母親がすすり鳴きながら今日は出られる状況ではないと電話をかけてきた。後の島津家の家庭崩壊の前兆であった。

毛利光の母親との面談では、佐倉は桂の補助として面談に同席した。何が何でもOK大付属系列に入らなければならないと訴える母親に併願パターンの見直しを促すが、一族皆OK出身の中で自分だけがOK出身ではなく、過去のOK幼稚園受験を失敗したトラウマが脳裏をかすめ、また自分のせいだと言われてしまうと顔面蒼白になる。

福島圭の母親との面談では、佐倉は木村の補助として面談に同席した。元々メンタルの弱そうな母親は、受験によって毎日子供と喧嘩ばかりの日々になり、親子関係を悪くしてまで中学受験を続ける意味を見出せないと泣きじゃくる。退塾したいという母親への提案として、公立中学に入ったとしても高校受験があるので、高校受験までの学力を維持する目的で塾を続けてはどうかと、集金のためのお客様としての対応へと切り替えた。

日曜特訓が始まりそれぞれの志望学校別クラスに分かれての特化型講習が始まった。講習が終わると生徒たちは自分たちの校舎へ戻って行き、再び自習室で学習の続きを始めたが、その中に島津順の姿はなかった。
順の成績が落ちた事で塾には任せられないと判断した父親が、自ら手綱を取り指導を始めたが、その勢いは暴走しパトカーまで自宅前に来る騒ぎとなった。
黒木は塾講師の立場で踏み越えてはいけない一線を越え島津家に行き、12歳の子供に18歳での自身の成功体験を押し付けるのは無茶だと言ってしまった。

順の母親は父親から順を引き離す決断をし、塾を訪れた。

中学受験に魅せられると、親たちは皆、こんなにも周りが見えなくなってしまうものなのでしょうか。本当はゲームなんかよりも、ずっと面白くて熱いものなのかもしれませんね。

二月の勝者 第9巻

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島津順の母親は家庭の事情を話し、このままでは順が圧し潰されてしまう、中学受験を続けることはできない、と佐倉達に伝えた。開成を目指すために必死に努力してきた順の姿を見ている黒木は、順が中学受験を諦めなくて良い方法として、奨学金制度や学費の安い国公立を提案した。なぜそこまで引き留めるのかを問う母親に、過去に受け持った生徒の家庭事情に首を突っ込み、良かれと思った行動で生徒を引き籠りにしてしまった苦い過去を語りだした。

一家庭を揺るがす事件があった後も塾は日々変わらず進んでゆき、母親の実家に住むこととなった順だけが、予定外のゆったりとした日々を過ごす事となった。

黒木は社長の白柳のツテで、都立中の受験対策講座を行なっている塾に順を奨学生として受け入れてもらう交渉を済ませた。今回の、島津家への介入が良かったことなのか分からないと言う黒木に「ブレてんじゃねえよ、しっかりしろ!」と電話口での白柳の声が大きくなった。

順は自分なりに考えた末、母親にこれ以上負担を掛けないため、受験を辞めることを黒木に伝えに行った。その意思を伝えるとともに、前回解くことが出来ずに黒木からヒントをもらっていた、開成の過去問の自分なりの解答を出して見せ、久しぶりの花丸を貰った。
塾に向かった順を追いかけ、母親も再び黒木の元を訪れた。
親子が揃った場で黒木は、再び中学受験を考えてみてはどうかと一度は諦めたはずの話をし、順が心に閉じ込めたはずの開成にチャレンジしたいという気持ちを口に出させた。
黒木が一番順の本当の気持ちを知っていた。

島津親子が帰った後、「塾は家庭の問題に踏み込んではいけない、私たちが関われる時間はそこまで長くない。」と机を叩きつけながら桂が叫んだ。
黒木はフェニックス時代に家庭の事情に介入し、自分の生徒を潰してしまった時の話を始めた。

 ~ テストの度に成績順でクラス替えを行う中、一人の生徒が最上位クラスから落ち、黒木に何とかしてもらえないかと懇願してきた。
当初、次のテストで頑張ろうと言って軽く見ていた黒木だが、ある時、その生徒の腕につねられたような痣があることを見てしまった。親による家庭内暴力を知った時から塾外でその生徒の学習を見るようになり、やがてそのことを知った母親から正式に家庭教師を頼まれるようになった。
その生徒は志望校に無事合格したが、本当の悲劇はそこからだった。
暫くは状況を知る由もなかったが、実力以上の学校に入ってしまったその生徒は、気が付けば学校の授業についていけず引きこもりになっていた。 ~

黒木は自分が、「家庭」・「親子」とというものを全く分かっておらず、知っているつもりでいただけだったと語った。 そしてそれを知るために桜花ゼミナールに来たと言った。

11月になり第一日曜日に6年生の保護者会が開かれ、そこで黒木は受験当日までに親のメンタルに3回のクライシスが来ると伝えた。

塾の講師と言えども、やっぱり学習だけではなく大なり小なり家庭事情に関わらなければ事が進まない様ですが、小学校のように家庭とも向き合うという立場ではないので、表立って手を出せずにヤキモチする講師が実は多いのではないでしょうか。

二月の勝者 第10巻

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受験当日までに保護者に到来する三回のクライシスについて、黒木は黒板を使い説明を始めた。
11月から受験日の2月まで、子供たちの学習スケジュールと保護者の各種手続きについての一覧が時間軸で表され、第一のクライシスは12月の模試の直前、二つ目は1月地方校試験の時、最後は本番2月受験の時と、黒板をチョークで叩き強調した。
そしてこの時期、子供達と面と向かい合っては親子喧嘩をするばかりでパフォーマンスが激しく落ちる、従って他人の子と接するが如く、いつもニコニコ明るい親を演じるように心がけてほしいと父兄に念を押した。

この時期になると 受験する学校分だけ願書を作り、食生活による健康管理を行い、さらには学校説明会で1日潰れてしまうこともあり、子供と接する時間もあまり取れなくなる。

各家庭では6年生の冬期講習会の費用の高さに驚きつつ、成績が芳しくない家庭では個別塾やプロの家庭教師を追加しだし、成績の上がらない親たちは右往左往する。

志望校別模試が始まり、それぞれの会場で受験する子供達と控え室の保護者は、本番さながらの空気に身を震わせていた。11月上旬の志望校別フェニックスオープンでは、開成、麻布、桜蔭、女子学院のそれぞれのオープンが開催された。

開成オープンが終わり、その足で塾に行く島津順は、途中で同じく塾に向かう上杉海斗に出会った。
塾の前に少しだけ寄り道して行かないかと海斗を誘い、井の頭公園の弁天様に着いた順は、さっき受けたフェニックスの開成オープンが、全然手応えがなかったと弱音を吐いた。
見た事のない自信なさげな順の姿を見て感じるところがあったのか、陸斗は弁天堂に手を合わせ、「僕にも開成チャレンジさせてください!」 と秘めていた願いを声に出して手を合わせた。
そして、一枚の絵馬に開成合格と二人の名前を書き込んだ。

一方塾では、模試を受けた家庭からの、志望校の判定が芳しくないことに不安を吐き出したい親達からの電話が鳴り続けた。
講師たちは各自のクラスに手いっぱいとなり、吉祥寺校Ωクラスと各校舎から選抜された生徒が集まる最難関クラスを受け持つ黒木から、Rクラスはあなたに託すと佐倉は告げられた。

翌日、模試の結果が第一志望に届かなかった山本香苗の母親が来塾し、A判定の出ている他校へのランク下げを佐倉に相談する。
あと10点合格ラインにどうしても届かない、もはやこれ以上は子供の限界と、音を上げる母親に、黒木からのヒントを念頭に、事前に調べておいた第一志望校を諦めなくてよい訳を伝えた。
模試でできなかった後半の難問は、香苗の受ける中堅校帯では出題されない事、12月以降の学校説明会で出題傾向のヒントが教えられるのでその部分を重点的に復習する事、複数回受験をして補欠が2回あれば正規合格になる事、 佐倉の説明に光を見た母親は、目を潤ませながらよろしくお願いしますと納得し、廊下で見守っていた黒木は安堵の顔でその場を去った。

前田花恋の桜蔭合格判定は50%、前田順は開成40%、直江樹里はJG(女子学院)40%、柴田まるみはJG(女子学院)20%、安全圏にはまだ及ばず、特にまるみは模試の結果を見てすぐに部屋に閉じ籠ってしまった。
しかし、塾ではまるみが受験したもうひとつの渋谷大崎(四谷大塚のもじり)合不合判定テストに注目が集まっていた。基礎から応用まで幅広く問うこの模試の結果では、基礎問題を着実に正解し、春から10近く上げてきた偏差値59.6と、早々出ない準御三家50%判定に講師たちがもしやと色めき立っていた。

フェニックス吉祥寺校では、サミットS1クラスの上杉陸人が麻布オープンで合格判定80%を出し、ほほを紅潮させ歓喜していた。

しかし、S1クラス担当講師の灰谷の顔には、早すぎる80%に不安がよぎっていた。

私学は多種多様で、中堅校では学力だけではなく、自校を切望している生徒であれば救済措置も設けられている様です。
合格ラインにあと少しの子供、まだ大分差がある子供、あと少しもう少しの数字のために熱いドラマを繰り広げています。

参考/関連

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そもそも中学受験とは

中高一貫の6年制の学校に入るための試験で、似たような成績の子どもたちが集まります。

なぜ中学受験をするのか

下記の様な特徴に魅力を感じるからです。

  • 一般的な公立に比べ学習進度が早く、最後の一年半程度を受験準備に使える。
  • 何かしらの事情で地元の公立学校に行きたくない。
  • 大学までエスカレーター式に上がれる学校もある。
  • 評判が即命取りとなるため、トラブルに敏感でいじめなどの心配が少ない。
  • 子供にとって魅力的なクラブ活動がある。

中学受験をさせた方がいいのか

中学受験は親の受験と言われる通り、受験するかしないかを決めるのは親です。
受験に魅せられた親はどんどん踏み込み、そんなもの馬鹿らしいと思ってる人はしません。

中学受験に塾は必須なのか

中学受験をするからには、少しでも上位の学校に行きたいというのが大半の人の本音です。
しかし上位の学校ほど入学試験の問題は難解で、特に算数は小学校での学習だけでは全く歯が立ちません。
学校では100点しか取らない子でも、塾の模試では偏差値40代前半という事がざらにあります。
それ故に塾に人が集まるのです。
なお中学受験をするのであれば「学習塾」ではなく「進学塾」と銘打っているところを選びましょう。

hajizo

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では、また~

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