仕事中や勉強中、YouTube の BGM ではちょっと物足りない、
かと言って初めて見るドラマではガッツリと見てしまう。
そんな時、端蔵は何度も見て内容を知っているドラマを BGM 代わりに流しています。
今回のおすすめは「下剋上受験」です。
絶望的に届かない最難関校を目指す親子と、それを見守る周囲の仲間の一年半の奮闘記。堅い内容と思いきや、キャストがいいので最後まで笑い多く見ることができます。
中学受験とは夢と希望に満ち溢れた素敵な世界への挑戦です。
小学生の子供がいる家庭ならドンピシャで引き込まれること間違いなし。
あらすじ
下町に暮らす桜井家は、大黒柱の信一(阿部サダヲ)、妻の香夏子(深田恭子)、小学5年生の一人娘・佳織(山田美紅羽)の三人家族。桜井家は代々中卒で、信一も同じ道を辿った。
そんな学歴とは無縁な桜井家に、佳織が受験した「全日本統一小学生テスト」の結果が届く。“トンビが鷹を生む”ことを願っていた信一だったが、その結果は散々なものだった。
学歴が与える将来への影響を感じた信一は、佳織に入塾テストを受ける。
しかし結果は最悪な結果だった上に高学歴な大学を目指すにはもう手遅れだと言われてしまう。
落胆する佳織の姿を見た信一は、二人三脚で中学受験を目指すことを決意。ここから中卒の父が奇跡を起こしていく・・・。
キャスト
阿部サダヲ
深田恭子
山田美紅羽
若旦那
皆川猿時
岡田浩暉
川村陽介
小芝風花
手塚とおる
要潤
風間俊介
小林薫
スタッフ
原作:「下剋上受験」桜井信一(産經新聞出版)
脚本:両沢和幸
音楽:出羽良彰
主題歌:斉藤和義『遺伝』(スピードスターレコーズ)
演出:福田亮介 吉田秋生
プロデューサー:渡辺良介 八木亜未
製作:大映テレビ TBS
内容紹介
何気なく受けさせた、娘・佳織(山田美紅羽)の「全日本統一小学生テスト」での成績が限りなく最下位に近く、佳織の将来を案じた桜井信一(阿部サダヲ)は進学塾を訪れる。
良い学校に入れるか尋ねるが、今からでは受験の準備は遅すぎると嘲笑され、自分で教える決意をする。
まずは自分が解き方を覚えようと、持ちきれない程の参考書を買い込んで開くものの、その難解さに絶句する。
自宅の勉強部屋を「俺塾」と名付け、佳織とともに勉強を始めるが、予習に大半の時間を取られる事から会社を辞める決意をする。
代わりに妻・香夏子(深田恭子)がパートをはじめ、信一は主夫をしながら佳織の勉強を見る事となる。
・・・
夫婦である信一(阿部サダヲ)と香夏子(深田恭子)の掛け合いのテンポが絶妙で間延びする事なく、横槍を入れて来る信一の父・おじいちゃん(小林薫)の トンチンカンな会話もベタで面白い。おじいちゃんをフォローするのは佳織の役目で、地頭の良さが垣間見れる。
やる事なす事、全てギャグになってしまう信一の中卒仲間と、中学受験経験者で大卒の楢崎(風間俊介)との噛み合わない会話も笑いを誘う。
中学受験の過酷さが原寸大で描かれており、親子の関係が悪化するところも現実そのまま。
特殊算や比の話題も多く出て来て、中学受験の算数を教える事の難しさが良く分かる内容になっている。
中学受験はその特殊性により、佳織の様に進学塾を使わずに自宅学習のみで中学受験をする子供は稀で、塾に通い受験テクニックを身につけていくのが一般的。
当然だがこのドラマを見たところで、同じように親が勉強を教えられる様になる訳ではなく、また勉強のコツなどについて具体的に触れられている訳でもない。あくまで楽しむためのドラマとして作られている。
このキャストが面白い
阿部サダヲ(信一)
この人は何と言ってもまず大きい目がよく目立つ。腰の引けたような演技が特徴的でどんな場面でも笑いを取れる名脇役。
桜井家は代々中卒で信一もそうであったが、佳織のために特殊算を理解し教えようと、会社を辞め毎晩徹夜で勉強を始める。
深田恭子(香夏子)
もう割と歳なのに、ハタチの頃と変わらないみずみずしさで見とれてしまいます。
当初、娘の佳織が中学受験に巻き込まれる事に反対していたが、佳織の頑張りを見て前向きな考えに変わる。難しいことはよく分からないという主婦役をうまく演じています。
小林薫(おじいちゃん)
熟年の演技が光っています。この人のしゃべりは面白いですね。
大工の一人親方。知っているつもりで色々と答えても全て的外れなってしまうところが見所。
風間俊介(楢崎)
「三年B組金八先生」の時から際立った演技の上手さで注目を浴びたこの人も重要な役割を担います。
信一が四苦八苦している特殊算を丁寧に教えてくれ、中学受験経験者ゆえの様々なアドバイスをしてくれる良き後輩。
小芝風花(佳織の先生)
当時は二十歳ぐらいでしょうか、とても初々しく見えますが演技はなかなか上手です。
美人で若い圭織の小学校の先生。若いが物怖じせず誰にでもはっきりと言う佳織のクラスの担任。教育に強い信念を持ち、小学校教育の目的は「人間形成」であると信一に訴え、自身も中学受験経験者であり、中学受験では父親との苦々しい思い出しかなかった事を語る。
山田美紅羽(佳織)
一番の見所はこの子、表情豊かでどの場面でも生き生きと佳織を演じています。
進学塾に通わずに、父・信一の勉強方針を信じ最後まで付いて行く。
勉強が嫌なら無理してやらなくてもいいんだという信一に、「そうしたら、私、中卒かなぁ・・・」と不安そうに呟く。
搔い摘んだシーン
試しに受けた模試では、偏差値の底辺に届きそうなあまりに厳しい結果。
小学校での成績がとても優秀だった佳織は、模試の散々な結果に落ち込み、慌ててフォローする信一の言葉も耳に入って来ない。
全てはここから始まった。
不動産会社に勤める信一は、物件案内の際に客と会社の後輩・楢崎が同じ出身大学という事で盛り上がっているのを横目で見ながら、中卒の信一は話に入れず気まずい顔をする。
追い打ちをかけるように、「 桜井さんは大学はどちら?」と尋ねられ、返答に窮してしまう。
普段は気にも留めていなかった自分の学歴に触れる出来事が重なり、ポストに投函されていた中学受験のチラシ案内をまじまじと見た。
その夜、妻の香夏子に佳織を進学塾へ入れてみないかと相談をする。
佳織のクラスに転入してきた徳川麻里亜(篠川桃音)も「全日本統一小学生テスト」を受けており、その成績は100番台と圧倒的で、佳織と同じく最難関私立女子中学「桜葉学園」を目指している。
ある日、体験入塾に参加した佳織は、有名講師の「この問題を解ける人いるかな?」との問い掛けに手を挙げた。
黒板の前に出て順調に解いて行くが、終わりのところで手が止まってしまい、最後の答えを代わった麻里亜に書かれてしまい、「ライバルとは言えないね。」と言われる。
周りの生徒から拍手を浴びる麻里亜と、唇を噛み締める佳織、信一は佳織の手を引っ張り教室から飛び出してしまう。
信一は、「お父さんと一緒に頑張ろう。どれだけ難しくてどれだけ遠いのか、やらなければいけないことを全部一緒にやる。佳織は良く出来る子だからお父さん油断していたんだ。あんなに差がついているなんて思ってもみなかった。一緒に追いかけよう。 」と塾を使わずに自分たちだけで勉強する決意を打ち明ける。
「全部一緒に?」と問いかけ佳織はとても嬉しそうな顔をしていた。
※桜葉学園
水道橋にある桜蔭学園がモデルと思われる。
物件案内を後輩の楢崎に任せ、仕事中も佳織の受験勉強の準備に没頭する信一は、中途半端な事をしていると仕事も受験も失いかねないと部長に釘を刺される。
もっともな話だと考えた信一は会社を辞める決心をし、部長に頭を下げる。
孫の佳織が中学受験をすると知って、桜井家の一室を勉強部屋に改築したおじいちゃん(小林薫)と弟子。
沢山の参考書を並べられる様に天井まで伸びた本棚と、佳織と信一が並んで座れるL字型の大きな机、そして部屋の入り口には「俺塾」と大きな看板も掲げられた。
これから1年半の間、佳織と信一はこの部屋で死に物狂いで中学受験の勉強をすることになる。
最近、気になることがあって家庭訪問に来たと言う佳織の先生(小芝風花)は、開口一番、本当に中学受験をするつもりかと信一と香夏子に問い詰めた。
更に矢継ぎ早に、
「自分ができなかったことを娘に押し付けているだけではないのですか?」
「中学受験の大半は親の見栄です。」
「自分が中卒で社会で苦労をしたので、娘には違う道を歩ませたいと考えているのではないですか?」
本当に佳織に中学受験をさせて良いのか、信一に迷いが生じた。
転入生の麻里亜の家に来た佳織は、大きな部屋とびっしりと揃えられた参考書、そしてコピー機などに驚く。
受験する桜葉学園の話になり、試しに過去問を解く競争をしようと言うことになった。
ヨーイドンでおもて面にした過去問は、特殊算をまだ習っていない佳織には全く歯が立たず、隣でものすごい勢いで解いている麻理亜に頭が真っ白になる。
家に帰った佳織は、途方もなく開いている麻理亜との差を信一に話し、「どうしよう、どうしよう」と泣きじゃくる。
特殊算の一つ、旅人算の問題を考える佳織と信一。
相対速度を教えようとする信一だが、自分もよく理解していないため明確な説明ができない。この夜、信一は布団の中でひたすら相対速度について参考書を見続けていた。
※特殊算
方程式、変数表記、三角関数など、数学を習っていない小学生が理解し易い様に、分類し命名したもの。(つるかめ算、濃度算、旅人算、植木算、仕事算、ニュートン算、消去算、差集め算・・・)
詳細は<こちら>にあります。
久しぶりに受けた模試の結果を受け取る二人。
総合得点の偏差値は52に上がり、遅れて迎えに来た母・香夏子に泣いて抱きつく佳織。努力が結果として表れ始めた瞬間だが、目標とする桜葉学園の偏差値は70以上で未だ先は長い。
※偏差値 52
成績の真ん中が50なので、52という数字は平均よりも少し良い程度のもの。ただし全国の小学生で中学受験をするのは上位の一握りなので、その集団で52を取れる子は相当優秀。
中学受験というのは親のストレスも半端なものではなく、例に漏れず信一も胃に穴が開き、入院するはめになった。
中卒仲間にお願いして入院中の病室に白板や参考書一式を持ち込んでもらい、しばらくの間そこで佳織の勉強を見ることとなった。
順調に学力がついてきて、解ける問題もかなり増えてきた。
しかし、桜葉学園の過去問になると難しすぎて手が動かなくなってしまう。
試験当日、桜葉学園の校舎前で精一杯の言葉をかける信一。
「小学校6年の冬、一度しか試験を受ける権利がない。」
「佳織の精一杯を桜葉学園に伝えてきなさい。」
「分からない問題が出ても絶対に投げ出してはいけない。今までの努力を無駄にするような態度だけはとってはいけない。」
「諦めるという気持ちを、今、ここで捨ててから試験会場に向かいなさい。」
参考/関連
そもそも中学受験とは
中高一貫の6年制の学校に入るための試験で、似たような成績の子どもたちが集まります。
なぜ中学受験をするのか
下記の様な特徴に魅力を感じるからです。
- 一般的な公立に比べ学習進度が早く、最後の一年半程度を受験準備に使える。
- 何かしらの事情で地元の公立学校に行きたくない。
- 大学までエスカレーター式に上がれる学校もある。
- 評判が即命取りとなるため、トラブルに敏感でいじめなどの心配が少ない。
- 子供にとって魅力的なクラブ活動がある。
中学受験をさせた方がいいのか
中学受験は親の受験と言われる通り、受験するかしないかを決めるのは親です。
受験したい人はして、そんなもの馬鹿らしいと思ってる人はしません。
中学受験に塾は必須なのか
中学受験をするからには、少しでも上位の学校に行きたいというのが大半の人の本音です。
しかし上位の学校ほど入学試験の問題は難解で、特に算数は小学校での学習だけでは全く歯が立ちません。
学校では100点しか取らない子でも、塾の模試では偏差値40代前半という事がざらにあります。
それ故に塾に人が集まるのです。
なお中学受験をするのであれば「学習塾」ではなく「進学塾」と銘打っているところを選びましょう。
では、また~