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【小説】忙しい毎日にひと休みをくれる、気楽に読める小説5選

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仕事や勉強に追われる毎日、気づけば心も体も疲れていませんか。そんな時こそ、肩の力を抜いて楽しめる小説がおすすめです。今回は、忙しい日常に小さなひと休みをくれる“気楽に読める小説”を5冊紹介します。

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『ノルウェイの森』村上春樹

なぜこの本を選んだの?:本作は、「セックスと死について徹底的に言及した恋愛小説」でありながら、青春の痛みや喪失感を静かに描いているからだ。若き日の主人公が抱える孤独と葛藤、そして深い愛の物語は、忙しい日常から一歩離れ、自分の心と向き合う「ひと休み」を与えてくれる。また、村上春樹の小説としては極めて「100パーセントの恋愛小説」として売れすぎたという点も、手に取りやすい理由になるだろう。普遍的なテーマを扱いつつも、印象的な大学生活の描写などが深く読者の心に響き、読書に没頭できるから、この一冊を選んだ。

長編/恋愛

物語は、37歳になったワタナベが、ハンブルク空港で流れていたビートルズの「ノルウェイの森」を聴き、激しい混乱と共に学生時代を回想するところから始まる。
彼は高校時代、親友のキズキを自殺で失い、その傷を抱えたまま東京の大学(文学部で演劇を学ぶ)に進学する。東京での生活の中、ワタナベは偶然、キズキの元恋人である直子と再会する。直子もまたキズキの死によって心に深い傷を負っており、二人は共に時間を過ごすうちに親密な関係になる。しかし、直子の心は不安定で、彼女は京都郊外の療養施設に入ることになる。
ワタナベは直子の見舞いに通いながら、大学で出会った、明るく自立した女性緑とも交流を深めていく。直子との関係は、死の影と静かな献身に満ちている一方、緑との関係は現実的で生への強い肯定に満ちていた。ワタナベは、死と向き合う直子と、生を力強く生きる緑の間で揺れ動く。過去の喪失と現在の愛、そして生と死に向き合い、愛とは何か、生きるとはどういうことかを深く問う青春の物語

メディアミックス

本作は2010年に映画化されている。主演は松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子が務めた。この映画のキャッチコピーは「深く愛すること。強く生きること。」

レビュー
レビュー

とにかく泣けた! 青春の甘酸っぱい感じとか、切ない気持ちが痛いほど伝わってきたよ。高校時代の親友の死とか、直子との関係とか、読みながら自分の若い頃の寂しさとかを思い出して、なんだか心が洗われた気がする。『ノルウェイの森』は読むたびに印象が変わるっていう人の気持ちがすごくわかる。ただの恋愛小説じゃなくて、人生を深く考えさせられるんだよね。

レビュー
レビュー

最初に読んだ時は、正直ちょっと難しく感じたんだよね。『セックスと死』について徹底的に言及しているってレビューを見て、余計に構えちゃったのかも。でも、主人公ワタナベの大学生活の描写とか、直子や緑との会話を追っているうちに、だんだん引き込まれていった。特に、彼は文学部で演劇を学んでいたっていう背景もあって、彼の思考がすごく繊細に描かれているんだ。大人の恋愛小説としても読めるし、青春の傷を乗り越える話としても読めるから、読者の年代によって感想が全然違うのが面白いよね。誰かとこの小説について語り合いたくなる、そんな一冊だよ。

『阿修羅のごとく』向田邦子

なぜこの本を選んだの?:本作は、脚本家である向田邦子が手がけたドラマ脚本を書籍化したものであり、その卓越した構成力と人情の機微の鋭い描写が魅力だ。日本のホームドラマからは抜け落ちていると指摘された「セックス」を家族の成り立ちにあるものとして捉え、描いたという視点も特異であり、読む者を現実的な家族の問題に引き込みつつ、読み終えた後に共感と安堵感を与える。四姉妹それぞれの問題を軸に物語が展開するため、読者は誰かしらの「阿修羅」の側面に自身を重ね、忙しい日常から離れて他者の人生に没頭する「ひと休み」を得られるだろう。

家族ドラマ/家族

物語は、年老いた父に愛人がいたという衝撃的な事実から始まる。この事態に、個性も生き方もバラバラな四人の娘たちは、父の秘密に対する対策に大わらわとなる。
しかし、彼女たち自身もそれぞれに問題を抱えている。
長女は、妻子ある男を愛人として愛しているという秘密を抱え、
次女は、夫の浮気に悩み、その疑心暗鬼から苦しんでいる。
三女は、結婚せずに実家で暮らすオールドミスであり、潔癖な性格から家族や周囲の状況に鋭く反応する。
そして四女もまた、自身や家族の問題に直面し、四姉妹は事態の収拾に奔走しながらも、互いに猜疑心を強め、事実を曲げたり、他人の悪口を言い合ったりするようになる。
「阿修羅のごとく」というタイトルは、三面六臂を有するインドの魔族、阿修羅に由来しており、一見平穏に見える姉妹たちの内に秘めた愛憎や葛藤、そして誰しもが持つ人間の業を鋭く描いている。次々と起こる出来事と、その中で露わになる姉妹たちの人情の機微が圧巻の作品だ。

メディアミックス

本作は元々ドラマ脚本であり、過去にも映像化されているが、2025年に是枝裕和監督によってNetflixにて再ドラマ化・配信されることが決定している。過去のドラマ作品の情報や感想はFilmarksなどでも確認できるため、書籍と映像作品を見比べるのも面白いだろう。

レビュー
レビュー

向田邦子さんって本当にすごい作家だよね。私は男なんだけど、女の人が『阿修羅』かどうかは正直分からないよ。でも、この小説に描かれている男の情けなさ、滑稽さ、さみしさは、すごく鋭く描かれていると思ったね。なんか、図星を指されたような気分になって、読んでてグサグサきたけど、それがまた読んでて気持ちいいんだよ。

レビュー
レビュー

いやもう、次々と事件が起こるし、姉妹同士の心のやり取りがすさまじくて、一気に読まされたね。読んでいる間、人情の機微に圧倒されっぱなしだったよ。みんな完璧じゃないし、愛人を持つ長女とか、夫の浮気に悩む次女とか、潔癖なオールドミスの三女とか、誰かしらに共感しちゃうんだよね。表面だけじゃなくて、家族の心の奥底のドロドロした部分まで描き切っているところが、たまらなく良い作品だと思う。読んだ後はなんかスッキリして、自分の家族にも優しくなれそうだよ。

『日日雑記』武田百合子

なぜこの本を選んだの?:本作は、「日常にほとほと疲れて飽きたときに、読み返したくなる」と評されるように、忙しい読者に心からの「ひと休み」を提供してくれるからだ。内容は、「ある日」という出だしで始まる武田百合子の日々の出来事を綴った雑記であり、どこから読んでも面白く、その文章は味わい深い。ユーモアに溢れながらも時に残酷ですらある人々の描写は、読者の予想を裏切り、読み応えのある「気楽さ」を与えてくれるから、このエッセイ集を選んだ。

雑記/エッセイ

『日日雑記』は、作家・武田百合子が昭和の終わりから平成の初め頃までの日々を綴ったエッセイ(雑記)集。基本的な文章は「ある日」というフレーズで始まり、彼女の東京での生活の様子が新鮮に描かれている。
内容は、武田百合子が出かけた場所で出会ったひとびとの描写が中心だ。映画や歌舞伎、相撲といった娯楽、あるいは美空ひばりに関するエピソードなど、当時の文化的な側面も垣間見える。彼女が独特の視点と文体で綴る文章はユーモアに溢れている一方で、描かれる人間模様は結構残酷ですらある。
例えば、映画雑誌を出す極貧のOさんが急に倒れる話や、富士の山荘近くの管理人Aのエピソードなど、印象に残る出来事や人物が散りばめられており、予想外の展開に読者は完全にやられっぱなしの気分になる。日々のささやかな出来事を通じて、人間の本質や滑稽さが時に辛辣に、時に温かく描き出されており、何度読んでも新しい発見がある味わい深い一冊だ。

メディアミックス

『日日雑記』自体に、大規模な映像化や舞台化といったメディアミックスの情報は見当たらない。しかし、著者の武田百合子は夫である作家の武田泰淳の療養生活を描いた代表作『富士日記』で知られており、その独特な文体と日常の観察眼は、多くの作家や読者に影響を与え続けている。彼女の描く「ある日」の情景は、読者の頭の中で映像として再生され、独自のメディアミックス体験を生み出していると言えるだろう。

レビュー
レビュー

これ、本当に面白いんだよね。どのページを開けても、そこに書かれている文章がすごく味わい深いんだ。日常にほとほと疲れて飽きたときなんかに、パラパラって読み返したくなるんだよね。そうすると、不思議と気持ちが楽しくなってくる。なんていうか、ぼろぼろになった心を優しく包んでくれるような、そんな力がある本なんだよ。

レビュー
レビュー

武田百合子さんの文章は本当に不思議な魅力があるよね。「ある日」っていう出だしで始まるんだけど、その後の展開がいつも予想外なんだ。ユーモアがあるのに、描かれている人間関係は結構残酷だったりして、そのギャップにやられる。特に、極貧のOさんが急に倒れるエピソードとか、すごく印象に残っているんだ。まるで、人生の「実はぜんぶ」を見透かされているような気分になって、ついつい何度も読み返しちゃうんだよね。

『原色の街・驟雨』吉行淳之介

なぜこの本を選んだの?:本作は、芥川賞を受賞した名篇「驟雨」を含む初期傑作五編を収録した短編集であり、短編形式のため「気楽に読める」というタイトルに合致する。都会的でクールな主人公と娼婦との付かず離れずの関わり方、憎悪、快感、嫉妬といった人間の生々しい欲望を描き出し、日常の忙しさとはかけ離れた、非日常的な世界への没入という「ひと休み」を提供できるからだ。その読ませる工夫が施された文体も、読者を飽きさせないだろう。

純文学/私小説的/都市文学

『原色の街・驟雨』は、吉行淳之介の初期の傑作短編五編を収めた作品集であり、特に表題作の「原色の街」と芥川賞受賞作の「驟雨」は、戦後の歓楽街(いわゆる赤線地帯)を舞台にしている。
「原色の街」の主人公は、汽船会社に勤めて3年になる山村英夫だ。彼は女を深く愛することを煩わしいと感じており、刹那的な関係を求めて娼婦街を彷徨している。しかし、彼が通い詰めるうちに、なじみの娼婦である道子に徐々に惹かれていくことになる。一方の道子も、客である山村に対して複雑な感情を抱えており、二人の関係は都会的でクールでありながらも、互いの欲望、快感、嫉妬といった生々しい感情が交錯し、物語は展開していく。
続く「驟雨」も同様に娼婦と男の話だ。こちらは、遊びのつもりで娼婦と関わった男が、一人の娼婦に本当に惹かれてしまう心理を描いている。男は自分の感情を押し込めて平静を取り戻そうとするが、その試みはなかなかうまくいかない。
吉行淳之介は、自らが結核を患っていたという背景も持つとされ、初期の作品群を通して、都市の影や、人間が持つ本能的な性や愛といったテーマを、適度に装飾された文学的で美しい描写で描ききっている。

メディアミックス

『原色の街・驟雨』の単体での映像化や舞台化といった情報は検索結果にはない。しかし、吉行淳之介の描く都市の風景や、人間心理を鋭く捉えたクールな文体は、戦後の日本の文学界、特に私小説的な作風に大きな影響を与えた。この短編集は、彼の文学の出発点を知る上で重要な作品であり、彼のエッセイや小説は、時代を超えて多くの読者に愛され続けている。

レビュー
レビュー

収録されている中で『原色の街』が一番心に残ったな。主人公の女の人、娼婦の道子に、なんだかすごくいい印象を持ったんだ。都会とか街の描写もすごく良くて、情景が目に浮かぶみたいだよ。全体的に、付かず離れずの関係を描いているのがクールで、読後感も悪くないんだよね。

レビュー
レビュー

『原色の街』も『驟雨』も、いわゆる赤線地帯の話だから、テーマとしては少し好みじゃないって人もいるみたいだよね。でも、吉行淳之介の文体には、読ませる工夫がしっかりあるんだ。特に『驟雨』は、遊びのつもりだった男が一人の娼婦に本当に惹かれちゃうっていう展開が切ないんだよね。感情を押し込めて平静を装おうとしても、うまくいかない男の焦燥感がよく伝わってきて、短編なのにすごく読み応えがあったよ。

『城の崎にて』志賀直哉

なぜこの本を選んだの?:本作は、山の手線の電車にはねられ怪我をした志賀直哉の療養中の実体験を描いた短編だ。日本の私小説の代表作でありながら、簡潔な文章で生と死について深く静かに考えさせてくれる。短編なのですぐに読める点、また、死への恐怖から「生かされている」という感覚へと至る静かな思索は、忙しい頭を休めるのに最適な「ひと休み」になるから選んだ。

短編/私小説/心境小説

物語の「自分」(作者)は、山の手線の電車に轢かれ大怪我を負った後、脊椎カリエスの恐れがあるほどの怪我の療養のために、兵庫県の城崎温泉に逗留する。
療養生活を送る「自分」は、後遺症なのか頭がはっきり回らない状態にあり、事故による死の恐怖を身近に感じ続けていた。これは志賀直哉が実際に体験した心境を、独特の率直な文体で書き綴ったものだ。
ある日、「自分」は旅館の軒下で、死んだ蜂を見つける。その蜂の死後の静けさに親しみを覚え、自らの心境を重ねる。また、石を投げつけて死なせてしまったイモリ、そして水に溺れて死んだねずみといった、三匹の小動物の死に遭遇する。
特に、ねずみが自分の怪我とは無関係に偶然に死んでしまったという事実に触れ、「自分は事故に遭ったけれど生きている」という生の実感と、「死」は常に偶然と隣り合わせであるという感覚を抱く。
「自分」はこれらの小動物の死に、自分自身を重ねて静かに考えていく。そして、事故で死に直面したことで感じた死への恐怖から、一転して「生かされている」という静かな安堵の境地へと達する。生と死の対比と調和を静かに見つめた、珠玉の短編小説である。

メディアミックス

本作は、1917年(大正6年)に白樺派の同人誌『白樺』で発表された短編小説。文学作品として古典的な位置を占めているため、映像作品化の情報は見当たらないが、YouTubeなどでは「3分でかんたん解説」といった動画が多数公開されている。これらは小説の内容を理解する助けになるだろう。読後に解説動画を見て、さらに考察を深めるのも良いかもしれない。

レビュー
レビュー

電車に跳ねられて大怪我をした作者が、温泉で療養中に見た動物の死を通して、『自分は生きているんだ』って再確認する話だよね。なんか、日頃の忙しさで忘れかけていた『生かされている』という感覚を、この小説が思い出させてくれるんだ。短編だからサクッと読めるのに、読んだ後の静かな感動がすごいんだよ。心にスーッと染み込んでくるみたいで、疲れた時に読むと本当に癒されるよ。

レビュー
レビュー

これはね、志賀直哉が大怪我を負って療養していたときの心境をそのまま書き綴った、実体験小説なんだよね。だから、飾らない志賀直哉独特の率直な文体が、すごく心に響くんだ。特に、死んだ蜂を見て『死後の静けさに親しみ』を覚えるっていう感覚は、生死の境目をさまよった彼だからこその言葉だと思う。難しい言葉は使っていないのに、『生』についてこんなに深く考えさせられるなんて。読むと自分の生き方を問い直す、静かな思索のひとときが持てるんだよ。

以上、【小説】忙しい毎日にひと休みをくれる、気楽に読める小説5選でした。

hajizo
hajizo

では、またね~

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